A068
創業から60年以上の長きにわたり地元に根差して営業を続けてきた、老舗質屋の改装プロジェクトである。質屋といえば、ひっそりとした裏通りに出店し、入口や店舗内の様子がわからないというのが一般的だった。しかし、先代は質業をもっと身近な存在とするため、あえて駅前の百貨店が並ぶ大通りに出店した。その先代より事業を継承したクライアントの目標は、時代の変遷を見据えた新たな事業展開であった。ネットショップへと移行していく質業の潮流に流されることなく、先代から守ってきた温かみのある対人接客に重点を置きもてなしの場にふさわしい店舗とするため、あえて大胆なリニューアルを実施した。
角地にもかかわらず、大通りに面した短手方向にしか開口が設けられていなかったため、既存店舗は視認性が悪く、「入りづらい、何のお店か分からない」などの課題を抱えていた。そこで、更に街に開かれた質屋とするため、長手方向にも大きく開口を設け、遠くからでも店内がよく見通せるようにして、都市空間との連続性を高めた。
1階は店舗がメインであり、ショーウィンドウに飾られた商品を、誰でも気軽に購入できる。2階は相談デスク兼査定室となっており、コンシェルジュデスクのようにゆったりと寛ぎながら、専門家からコンサルティングを受けることができる。2つの相談デスクの間は、スライド式のパーティションで区切られており、大型案件では一つの大きな空間として使用できるようになっている。2つのフロアを結ぶ階段は、 ゲストを2階へ誘うように天然木のルーバーを1階まで延長し、上り口を大きく広げた。優美な曲線を描いた手摺には、触れた時に温かみが感じられるように、滑らかな本革を巻いている。人と人の接点が少なくなっている時代だからこそ、このように素材や人の温かみを感じられる、心地良い空間をお客様に提供したいという、クライアントの想いを形にした作品となった。
2022年 竣工
角地にもかかわらず、大通りに面した短手方向にしか開口が設けられていなかったため、既存店舗は視認性が悪く、「入りづらい、何のお店か分からない」などの課題を抱えていた。そこで、更に街に開かれた質屋とするため、長手方向にも大きく開口を設け、遠くからでも店内がよく見通せるようにして、都市空間との連続性を高めた。
1階は店舗がメインであり、ショーウィンドウに飾られた商品を、誰でも気軽に購入できる。2階は相談デスク兼査定室となっており、コンシェルジュデスクのようにゆったりと寛ぎながら、専門家からコンサルティングを受けることができる。2つの相談デスクの間は、スライド式のパーティションで区切られており、大型案件では一つの大きな空間として使用できるようになっている。2つのフロアを結ぶ階段は、 ゲストを2階へ誘うように天然木のルーバーを1階まで延長し、上り口を大きく広げた。優美な曲線を描いた手摺には、触れた時に温かみが感じられるように、滑らかな本革を巻いている。人と人の接点が少なくなっている時代だからこそ、このように素材や人の温かみを感じられる、心地良い空間をお客様に提供したいという、クライアントの想いを形にした作品となった。
2022年 竣工
設計 | セシモ設計 |
施工 | 砂川建設株式会社 |
撮影 | 45g Photography(小島純司) 繁田諭写真事務所(繁田諭) |